以前、ダイヤモンドは実は割れたり欠けたりするんですよというお話を書きました。
今回の話はレーザードリルホール(以後は略でLDH)です。
その名の通りレーザーでダイヤモンドの内部まで穴を開けてしまう事です。
どうして天然の宝石にそんなことをするんでしょう?
ダイヤモンドだけでなく、宝石は何百年、何千年、何万年とかけて自然の力で作られていきます。
その過程の中で、不純物や熱や圧力による亀裂や割れなどが内部に入ります。
もちろん入っていないもの、少ないものが高評価されるのは当然ですが、これらは天然の証なんです。
全くないものはそうそう出会う事はありません。
そんな内包物の中には、顕著に色がついているものがあります。
例えばカーボンと呼ばれる黒点。これはダイヤモンドによくみられる内包物です。
無色透明に近いダイヤモンドにこの真っ黒な黒点が入るとすごく目立ってしまいます。
そんな黒点を目立たなくするためにダイヤモンドに穴をあけるんです。
まずはレーザー光線でダイヤモンド表面から黒点のある内包物までを開通させます。
穴と言っても非常に微小なものなので、肉眼で確認する事は難しいでしょう。
その穴に強力な酸を注入して黒を白に漂白します。
傷や内包物を消してしまうものではないので、見えなくなることはありませんが、
黒色から白色になるのでそれ自体は目立たなくなります。
ダイヤモンドが綺麗になったからと言って評価が上がるかというとそうではありません。
人の力が加わったものは処理石という事になります。
このLDHだけでなく、処理されたものは全て鑑定書、ソーティングの備考欄に記載されます。
下の写真はLDHの実物画像です。
赤い矢印の先にある上下に伸びる細い白い線がLDHです。
下の黄色丸内の物が白く漂白されています。
石の裏側から光を当てると分かりやすいです。LDH、インクルージョンも逆光で黒く見えています。
こうすると上下にはっきりとドリルホールが伸びているのが見えますね。
見分けることはなかなか難しいですが、熟練すれば見分けることが可能です。