今回はダイヤモンドの4Cの一つ「カット」のお話です。
全てを書く事は難しいので、分かりやすく簡単に書いてみます。
カットについて職人は常に2つの項目について留意しています。
1つ目は、効果的な光の戻り(表面、内部反射した光で石にきらめきが生まれます)。
2つ目は重量歩留り(最大限に無駄なくカットする事です)。
※キャラットは重さの事で大きさではありません。
同じキャラット数でも真上から見ると大きさが違う石は多々あります。
この2つのバランスが重要になります。
重量歩留りのみを重視すればただキャラット数が重いだけの輝きのないダイヤになってしまいます。
そこで重要になるのが一つ目の「プロポーション」です。
プロポーションとはファセット面(ダイヤの平らな面)のサイズや形状、角度の関係の事です。
美しい輝きを発揮するにはプロポーションが狭い範囲に限定されてしまいます。
人間で使うプロポーションという言葉と同じ意味だと考えて下さい。
このプロポーションの範囲外では、その石の美しさをなくしてしまう事になります。
もちろん他にもポリッシュ(研磨状態)やシンメトリー(対称性)など考慮する事はたくさんあります。
今回は省かせて頂きます。
輝かせる為にはそれなりに重量は犠牲にしなくてはならないという事です。
その犠牲になる部分を最小限に抑えるのが職人さんの腕という事ですね。
これが重量歩留りという事になります。
大きなダイヤでカット評価の良い物がどれだけ希少性があるかお分かりになると思います。
鑑定書に記載されているカット項目の評価は
EXCELLENT、VERY GOOD、GOOD、FAIR、POORの4つになります。
知っている方も多いと思いますが、実はEXCELLENTの評価には更にランクがあるんです。
鑑定書のカット評価の近くに、「FINISH(フィニッシュ)」という表記を目にしたことはないですか?
これはポリッシュ(研磨状態)とシンメトリー(対称性)の事で、ここにも評価が記載されています。
カット総合評価がEXCELLENTでポリッシュとシンメトリーともにEXCELLENTの場合、
3EXCELLENT(トリプルエクセレント)と呼ばれ、とても希少性があるとされています。
総合評価がEXCELLENTでもフィニッシュがGOODやVERY GOODという事もあります。
そして、販売店などでよく目にする「ハート&キューピット(H&C)」、これもカット評価の一つです。
写真の様に特殊な環境でクラウン側にアロー(矢)、パビリオン側に(ハート)が見られます。
このH&CはVERY GOOD以上の評価で確認されます。
ただVERY GOOD以上の全ての石に確認できるというものではありません。
EXCELLENTでも少しのズレでH&Cの評価が入らないこともあります。
ただこの評価が出なかったから悪いというものではありませんのでお間違えなく。
ただ高評価になる事は間違いありません。
お持ちのダイヤモンド鑑定書のカット評価をぜひ確認してみて下さい。
鑑定書にはカットだけでなく、その石の特徴全てが詰まっています。
全く同じ石は存在しません。じっくり観察するのも面白いと思いますよ。